乳腺クリニックとは

乳腺クリニックについて

乳房におきる病気を診断し、治療する場所が「乳腺クリニック」です。

「乳房」とは、「おっぱい」を少し詳しく説明した医学用語です。葡萄の房を思い描くとわかりやすいと思います。房に生った実の一つ一つが「乳腺」です。乳腺から乳管という管が出て、これが乳頭に集まります。乳房は、乳腺・乳管・乳頭が集まった一対の臓器なのです。

乳腺クリニックが取り扱う主な病気は、乳がん、乳腺のしこり(線維腺腫、葉状腫瘍)、痛みや違和感を伴う乳腺症、授乳期によく起こる乳腺炎、陥没乳頭の人に起こりやすい乳輪下膿瘍(のうよう)などです。そして、男性にも乳房の病気は存在します。男性乳がんや女性化乳房症が対象となります。

乳腺クリニックで扱う疾患は、超音波検査・マンモグラフィなどの画像検査と、針生検などの病理組織検査を用いて総合的に診断します。

乳腺クリニックは、超音波検査・マンモグラフィ・針生検ができる専門的な知識と技術を持った二次精査機関とも呼ばれています。さらに詳しい情報が必要な場合、CTやMRIなどの画像診断を行いますが、これらは造影剤を使用した特殊な検査に当たり、むやみに行う検査ではありません。乳がんの診断がついた場合などに限られます。

こんな症状があれば乳腺クリニックへ

このような症状でお悩みの方は、まずは当クリニックを受診いただき、診察を受けてください。症状がはっきりしない場合も、躊躇せずに受診していただくことが解決の早道です。

乳房にしこりがある

乳房のしこりには、良性と悪性の疾患、どちらの可能性もあります。しこりは、硬く触れることも、ゴムボールのように弾力のある場合もあります。痛いこともあれば、痛くないこともあります。乳腺症と呼ばれる、痛みを伴ってしこりのように触れるが実際は治療の必要のない状態も多くみられます。もちろん、触診(直接触れて診察すること)だけでは確実な診断はできないためマンモグラフィや超音波検査が必要です。

乳房のしこりでもっとも、気をつけなければならない疾患が、乳がんです。硬いしこりを触れ、痛みを伴わないことが多いですが、そうでない乳がんもあります。乳がんを疑ったら、マンモグラフィと超音波検査や、必要な場合病理組織検査まで行って、確実に診断しなければいけません。また、良性のしこりに線維腺腫がありますが、これも硬いものから軟らかいゴムボールのようなものもあり、乳がんとの見分けがつきにくい場合は、病理組織検査まで行い診断する必要があります。

当院では、問診や触診から始め、マンモグラフィと超音波検査、さらに詳しい病理組織検査まで行うことが可能なため、より早く、正確に診断することができます。

乳房が赤く腫れて痛い

乳房が赤く腫れて痛みを伴う場合、まず乳腺炎や乳腺膿瘍が疑われます。乳腺炎は、細菌などの感染により、乳腺に炎症が起こっている状態で、授乳中の方に多く見られます。悪化してしまうと、乳腺の中に膿が溜まり、膿瘍(のうよう)を形成することがあります。注意が必要なのは、似たような症状を示す疾患の中に、炎症性乳がんという特殊な乳がんがあることです。どちらに当たるかは一般の方には判断できないため、症状に気づいた際は、お早めに当ご相談ください。

乳房の一部がへこんでいる、ひきつれている

乳房の一部の皮膚がへこんでいたり、ひきつれていたりする場合、その皮下や乳腺内に腫瘍がある可能性があります。こちらも乳がんの症状の可能性も考えられるため、ぜひご相談ください。

乳頭から分泌物が出ている、乳頭から出血している

乳房は、本来母乳を作り授乳させるための臓器です。授乳していないときは、基本的に乳頭からの分泌物はありません。

授乳中でないのに乳頭から分泌物が出ているとき、もっとも多い原因は、女性ホルモンバランスの一時的な変化による生理的な分泌です。この場合、分泌物は無色から黄白色のことが多く、乳腺症の症状としても現れます。しかし、分泌物が血性(黒い、赤い)の場合、乳管内病変や乳がんの可能性も疑われるため注意が必要です。

いずれの場合でも、まずは検査し原因を確かめる必要があります。

その他

乳房にできものができている、乳頭がただれている、腋の下にしこりがある、乳房の左右サイズが違うなど、気になる症状がありましたら、何でもご相談ください。

主な対象疾患

乳がん

乳腺におきる最も手ごわい病気が乳がんです。女性の罹患率(がんにかかる率)ナンバー1のがんです。日本では、働き盛りの40〜50歳の女性が最もかかりやすく、しかも10年前は欧米の女性と比べて二十分の一程度の割合だったものが、この数年では、数分の一まで増加してきています。

線維腺腫や葉状腫瘍

乳腺線維腺腫

乳腺線維腺腫乳腺の良性のしこりで最も多い病気です。多くは30歳代から出現しますが、なかには10歳代で診断されることもあります。痛みはなく、枝豆の様にころころと触れ、よく動きます。閉経するとそれ以上大きくなることはありません。途中でがんに変わることはありませんが、まれに10cm近くまで成長することがあり、ある程度の大きさ(4~5cm)があれば切除の対象になります。

葉状腫瘍

乳腺の良性のしこりのなかに、急速に大きくなる葉状腫瘍(ようじょうしゅよう)があります。多くは30〜40歳代から出現します。水を入れた風船やゴムボールの様に触れることがあります。時に皮膚を破って成長することがあるため、針生検で葉状腫瘍と診断された場合は手術で切除が必要です。また、良性の葉状腫瘍がほとんどですが、ごくまれに転移をおこす悪性葉状腫瘍もあります。

乳腺症

閉経前の女性によくみられるものに乳腺症があります。これは、女性ホルモン周期の影響を受けた乳腺がしこりのように硬く触れたり、痛みを感じたりする状態をさします。通常は、治療の必要はなく経過観察で十分です。乳腺の超音波検査では、豹紋様と表現される所見がみられます。

  • 乳腺症R
  • 乳腺症L

乳腺嚢胞(にゅうせんのうほう)

丸くて、押すとやや軟らかい感じのしこりを触れる。乳腺症の一部のものは全く心配ないですが、乳頭分泌を伴うこともあります。

乳腺細胞は分泌機能を持っており、分泌物が貯留してでき、授乳期にミルクが貯まったものはミルク嚢胞と呼ばれます。

超音波検査で単純な嚢胞であれば経過観察、あるいは針で穿刺して内容を吸引すれば消失します。稀に、嚢胞壁に癌ができているものがあり(嚢胞内癌と呼ばれる)、嚢胞内に液体以外のものが見えれば穿刺して細胞検査を行います。

乳管内乳頭腫(にゅうかんないにゅうとうしゅ)

乳頭からの分泌がおこり、血液が混じっている(赤やこげ茶色)こともあります。

乳管の中で、乳管細胞が増殖してできる乳頭状の形をした良性腫瘍だが、前癌状態と考えられています。

通常のマンモグラフィや超音波検査でははっきり分からないことが多く、乳管造影・乳管内視鏡検査で病変を見つけることができるが、乳管内に留まる初期の乳がんとの鑑別は組織を調べる必要があります。

乳腺炎・乳腺膿瘍(にゅうせんのうよう)

主に授乳期に多く、乳頭からの細菌の侵入によって起こります。自覚症状は乳房の腫れ、痛み、発熱、乳房皮膚の発赤など炎症症状です。

乳腺内に膿が溜まって乳腺膿瘍になった場合は切開して膿を出さなければならないことが多く、早期であれば抗生剤・断乳・搾乳・冷庵法などの処置をおこなえば良くなります。

乳汁うっ滞がひどい場合は、薬によって乳汁分泌を止める処置を行います。また膿(うみ)が溜まった時は、切開を行い膿を出さないと治癒しません。

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