コラム

2023.12.12

乳福も忘れないで コラムvol2

キリスト教系の学校の先生の機関誌「キリスト教保育」に縁あって「目福耳福口福」という欄にコラムを掲載しました。承諾を得て3回に分けて転載します。

前回は、乳腺の病気なかでも乳がんの早期発見の大切さに触れました。

早期発見の要点は適材適所です。プロが乳腺に適した検査を行い、検査結果を正しく診断することです。話は単純ですが簡単ではありません。キリスト教に基づいた保育と通じるものがありそうですが、知ったかぶりはここまでにします。検査は、二種類。マンモグラフィと超音波検査です。マンモグラフィは、乳房に特化したX線検査です。乳房を挟んで伸ばして撮影します。現在は、マンモグラフィに精通した女性放射線技師が増えて頼もしい限りです。そう、男の私はマンモグラフィを撮れません。そのかわり診断は、任せてください。マンモグラフィは読影資格制度を検診に取り入れた草分けで、評価の低い医師は読影に加わることができません。精度管理という考え方です。昔からある検査ですが、今はデジタル化され性能が格段に向上し、正確な診断が瞬時に可能です。

左右の乳房をそれぞれ二方向で撮影し、しこりや石灰化といった所見を探して診断します。乳がんのしこりは、周囲を引き込んで発育するのでスピキュラ(棘という意味)が特徴的です。しこりの周囲を棘が覆っていたらカテゴリー5です。ほとんどの良性のしこりは周囲を押し広げながら育ちます。丸くてがんではなさそうなのでカテゴリー3です。カテゴリー1と2は正常と明らかな良性です。この五段階のカテゴリーで篩に掛けます。実に奥深い検査です。

一方、超音波検査は、魚群探知と同じ原理です。音の反射を利用した検査で被爆をしないため妊婦さんも受けることができます。超音波はマンモグラフィと得意分野が違います。挟んでわかりにくい乳頭付近や腋(わき)、小さい数ミリのしこりも判別できます。ただし、超音波検査は操作する人や機械の違いで出来上がりがとても変わります。専門用語で再現性と言います。良性のしこりをがんの様な画像に作り上げることもでき、その結果、健診の際に「よく調べるマーク」が多くなってしまいます。

他にも新しい検査があり、上手に組み合わせて早期発見をしていきます。

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