乳がんについて

乳がんとは

乳がんとは乳腺におきる最も手強い病気が乳がんです。日本では、働き盛りの40〜50歳台の女性が最もかかりやすく、女性の罹患率(がんにかかる率)ナンバー1のがんです。しかも増え続けています。10年前は欧米の女性と比べて二十分の一程度の割合だったものが、この数年では、数分の一まで増えてきています。

早期発見と適切な治療が完治への最善の道筋です。乳がんは、硬いしこりを認めて診断に至ることが多いのですが、最近は検診によってしこりを自覚せずに発見される「非触知乳がん」も多くなりました。「非触知乳がん」に多い非浸潤がんの段階で治療できれば、10年生存率はほぼ100%です。しこり以外にも、違和感や乳頭からの出血などの症状で発見されることもあります。また、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)という、遺伝的に乳がんや卵巣がんのリスクが高い家系の方が日本でも存在することが知られています。この疑いのある方は、30歳代からの乳がんの発症が多いとも言われ、専門的な知識を持った医師の受診が勧められています。

乳がんの治療は、手術や放射線治療の局所療法と、内分泌療法、化学療法、分子標的療法の全身療法との組み合わせで進めます。針生検という方法で、がんの一部を特殊な針で取り、サブタイプ(表)と呼ばれるがんの性質を調べ(病理検査)、最も効果的な治療法を選択します。場合によっては、化学療法や内分泌療法の全身療法を先行して、がんへの効果を確認してから手術を行う術前全身療法が選択されることもあります。また、乳房をすべて切除しなければならない場合、人工物(インプラント)や自家組織(筋肉や脂肪)で乳房を再建する手術も選択肢の一つとなります。このように、その患者さんの乳がんのタイプにわけて専門的な判断を下し、治療を進める疾患が乳がんです。

以上のように、専門的な知識を持った乳腺専門医が早い段階から総合的に診断・治療を進めるべき病気が乳がんです。

乳がんの症状

早期の乳がんは自覚症状が乏しいのですが、進行すると症状が現れはじめます。乳がん発見のきっかけとして最も多いのは「しこり」です。それ以外の症状が現れることもありますので、しこりを含めて乳房や乳輪、乳首にちょっとした異変を感じたら、できるだけ早く受診することが乳がんの早期発見につながります。

しこり

乳がんの症状として広く知られている症状です。他の疾患でも乳腺のしこりが現れることはありますが、乳がんのしこりは比較的硬く、動きにくい傾向があります。乳腺のしこりの約90%は良性とされていますが見極めることは難しいため、しこりを発見したら自己判断せずに必ず専門医を受診してください。

湿疹やただれ

乳がんが疑われる症状として、乳頭や乳輪に湿疹やただれが起こることがあります。

乳頭からの分泌物

血が混じっているような(黒い、赤い)分泌物が乳頭から出る場合も、乳がんの疑いがあります。

乳房のへこみ、赤み、腫れ、熱感、痛み

がんが皮膚の下に根を張って乳房の皮膚にえくぼのようなへこみができることもあります。また、乳房の皮膚に赤み、腫れ、熱感、痛みなどの症状を起こすこともあります。

脇の下の症状

乳がんが脇の下のリンパ節に転移した場合、脇の下に腫れやしこり、しびれなどを起こすこともあります。

乳がんの原因

乳がんは、女性が一生のうちに14人に1人がなるとされていて、日本人女性では一番発症率の高いがんです。乳がんの増殖にはエストロゲンという女性ホルモンが関わっているとされています。乳がん発症の原因はわかっていない部分もありますが、リスク要因として下記のようなことが知られています。こうしたリスク要因は、ほとんどがエストロゲン分泌に影響を与えるものです。

  • 低年齢で初経を迎えた
  • 閉経年齢が遅かった
  • 出産歴がない
  • 初産年齢が遅かった
  • 授乳歴がない
  • 閉経後に肥満した
  • 飲酒習慣がある
  • 一親等に乳がんの家族歴
  • 良性乳腺疾患の既往歴

あくまでも上記はリスク要因であり、これに当てはまらないケースでも乳がんになることがあります。乳がんは早期に発見できれば比較的治しやすいがんとされているため、定期的な検診を受け、乳房に異常を感じたらすぐに専門医を受診するようにしてください。

当院の診察・治療の特長

当院の診察・治療の特長当院では、院長以外のスタッフはすべて女性です。安心して診察・検査が受けられます。

診察は、家族歴を含めた問診に始まり、視触診、さらに超音波検査・マンモグラフィによる画像検査を行います。乳がんを疑う病変や精密検査まで必要と判断された場合、さらに針生検による病理組織検査を行います。病理組織検査の結果、乳がんの診断が出た方や手術が必要と判断された方は、手術に対応している連携病院へと紹介いたします。院長が勤務していた東京逓信病院での治療をご希望の患者さんは、紹介後に院長自ら手術を執刀いたします。また、人工物による乳房再建が適応の乳がん患者さんは、さらに乳房再建専門施設であるブレストサージャリークリニックと連携して治療を進めます。

一方、化学療法や分子標的薬による全身治療が必要な場合は腫瘍内科医による治療ができる施設へのご紹介もいたします。上記以外のご希望の施設への紹介も、もちろん可能です。

手術後の経過観察や内分泌療法につきましては、引き続き当クリニックで対応してまいります。手術後は、定期的に経過観察を行うことが大切です。

内分泌療法について

当クリニックは、乳がん手術後の経過観察や内分泌療法(ホルモン療法)に対応しております。術前に当院に通院されていた方以外でも、お仕事やご家庭の状況で、元々の病院に通院できない場合などでお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

精密検査や経過観察にも対応しています

乳がん検診・健診で精密検査を勧められた方や、他院で詳しい検査を勧められた場合は、ぜひ当クリニックへお越しください。当院では、院長が画像診断から針生検までを行い、病理診断の結果を含めて総合的に診断いたします。

また、良性疾患の診断がついた場合でも、あとから他の部位や近くの部位に悪性腫瘍が見つかったりする場合もありますので、定期的な経過観察はとても大切です。もちろん、当クリニックでは、良性腫瘍の経過観察や手術後の経過観察も行っております。

TEL.03-6908-1026 WEB予約はこちら
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